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「入り易くてお得」というランキング

 中高一貫校で求められる選抜機能は、いうまでもなく高等教育機関への進路だ。どのように中学で選抜して大学への進路を導いたか、という点。それで興味深いのは、入口でのその中学校の学校序列に対して出口の序列優位の大学に進路をとらせられたい。子どもの代での地位移動を実現する上で、そうした中高一貫校は強い機能をもっていることになる。
 『週刊ダイヤモンド』5月19日号「中高一貫校・高校ランキング」特集の「入り易くて合格力が高い目標大学別”お得な学校”」リスト(38頁~40頁)は、その意味である程度精度のあるリストとして参考になるだろう(というのもこのリストアップの方法論をご提案した経緯があるからだ)。
 世間では母集団の全く異なる偏差値を単純に引き算したり、あるいは「入り易くてお得」という意味を大学実績偏重とのみ受け止める風潮があるが、いずれも一面的だ。
 教育は社会移動の大きな力であり、動機でもある。もちろん学校には教育機能と情報機能があるとされる(村井実)。それはそれで何らかの評価が必要だし、学校としては教育機能をもっと注目してほしい、あるいは評価をしてほしい、という思いがあるし、学ぶ側でもそれを知りたいというニーズも強い。
 しかし、財・サービスの購入にはまず価格がハードルになる。ひいては年収あるいは家庭文化という前提条件がこれを左右する。そのハードル也条件をクリアできるのは、こうした諸機能への強いニーズであろう。とりわけわが国は入試をこえなければ学校に入れない。そこでの教育は受けられないのだから現実論として選抜機能が高ければ高いほど親世代の格差を解消する力が強い、ということになるはずである。
 勿論、一方の教育や情報の機能も十分でないと、人材は育たないから弱い機能は家庭や社会で補うことになる。
 尚、こうしたランクは年々の動きがあり、単年度だけでなく中期的観点も必要だ。